調停
調停とは、紛争について、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とした、裁判所で行われる話し合いの手続の1つです。
民事調停、特定調停、家事調停などがあり、それぞれ民事調停法、特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律、家事事件手続法などの各法律に規定があります。
調停は、簡単に言えば、裁判所で、話し合いによって問題やトラブルの解決を図る手続です。
申立て
調停は、裁判所へ申立書や必要書類、印紙等を提出して申し立てます。
申立書の書式は、裁判所へ行けばもらえるものもあるほか、裁判所のホームページに掲載されているものもあります。
申立てが受理されると、相手方へ、第1回期日の開催通知や申立書の写し等が郵送されます。
調停期日
調停期日は、申立人と相手方が出席することになります。
一般的には、裁判官は当初は前面には出てこず、一般市民から選ばれた2人の調停委員(主に弁護士その他の各種専門家や有識者から選任されます)が、話し合いの仲立ちをします。
当事者は、調停室内で、調停委員に主張をし、相手とは同席せず、直接交渉をするわけではありません。
当事者は、訴訟の場合と異なり、必ずしも法律にとらわれることなく、自由に主張を述べることができます。
調停は非公開であり、プライバシーは守られます。
一方が調停委員と話をしている間、相手は別室で待機をし、一方の主張が済んだら交替し、相手と入れ替わります。
当事者双方の待合室も、それぞれ別の部屋となります。
双方の主張を重ねていく中で、調停委員・裁判官は、法律的な評価に基づいて、事件の実情もふまえて当事者に助言をし、双方に歩み寄りを促し、双方が納得のいく解決となることを目指します。
一回の期日で話し合いがまとまらない場合は、続行されることがあり、1~2か月ごとに開催されることが一般的です。
合意に至るか、または不成立に至るまでの間、調停期日は数回続くこともあります。
合意に至った場合は、その内容を盛り込んだ調停調書が作られます。
調停調書は、確定判決と同様の効果があり、例えばここに定められた支払いがされない場合等は、当事者は調停調書に基づいて裁判所へ強制執行を申し立てることもできます。
特色
調停は、訴訟と比べれば、一般的には申立手数料が安く、手続も簡潔です。
そのため、申立てから終了まで、弁護士を立てることなく自分で行う方もそれなりにみえます。
また、相手と直接交渉するのは話し辛い・話せないというような場合も、調停ならば裁判所の調停委員を介して話し合うため、その点のハードルはクリアできます。
要する費用・時間・労力等も、訴訟に比べれば通常は少なくて済みます。
ただし、訴訟とは異なり、あくまで裁判所での「話し合い」である以上、強制力があるわけではなく、訴訟のように最終的に「判決」によって強制的に結論が出されるわけではありません。
そのため、相手が出席・応対しない場合には手続が進みませんし、出席しても、当事者双方の言い分が食い違ってしまってどうしても合意できない等の場合には、物別れに終わり、解決には至らないこととなります。
その場合、どうしてもそれで終わりにすることはできなければ、訴訟等を検討する必要が生じます。
また、時間や労力が訴訟よりも少なくて済むというのは、あくまで「一般的には」ということであり、例えば複雑な事件や当事者が多数の事件等の場合には、調停に長期間かかり、それでも合意による解決ができずに決裂し、結局訴訟へ進まざるを得ないことになると、その場合は最初から訴訟の方が良いケースもあり得ます。
なお、事件によっては、最初からいきなり訴訟はできず、まずは調停での話し合いが望ましいとして、そちらを先にすること(調停前置)と決められている類型もあります。
以上が調停の概要です。
紛争が生じた際には、解決のための一手段として、調停も検討に値する手続かと思われます。
調停の問題も、お気軽にご相談ください。