消費貸借

 消費貸借とは、当事者の一方が、種類・品質・数量の同じ物を返すことを約束して、相手から金銭その他の物を受け取ることによって効力を生じる契約です。
 消費貸借は、土地や建物、自動車などの貸し借り(賃貸借使用貸借)のように、借りたまさに「その物」を返さなければいけない契約とは異なり、その借りた物をどのように使ってしまおうが自由で、たとえ使い切ってなくなってしまっても、同じ種類・品質・数量の物を返せばそれでよいという点です。
 つまり、消費してしまえる物の貸借です。
 実際に一番多いのは、お金の貸し借りでしょう。

 消費貸借は、書面ですることもでき、その場合は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約束し、相手方がその受け取った物と種類・品質・数量の同じ物を返還することによって、効力を生じます。
 この場合は、借主は、貸主から金銭等を受け取るまで、契約の解除が可能ですが、貸主は、解除によって損害を受けた時は、借主に損害賠償請求が可能です。

 消費貸借も、返済の仕方について、一括払いや分割払いがあるほか、借りる際には、保証人を付けたり家を抵当に入れたり、公正証書を作成したりなど、様々なパターンがあり得ます。
 保証人は、簡単に言うと、借りた人が返さない場合に備えて、予備的に返す義務を負わされる人のことです。
 貸す側にとっては、保証人を付けてもらえば、返してもらえる可能性が高まるので、より安心して貸せるわけです。
 保証契約は、債権者と保証人との間で結びます。
 保証契約は、書面でしなければ効力が生じないので、注意が必要です。

 抵当権は、簡単に言うと、家や土地などの不動産を、借金等の際に担保に入れる契約です。
 後日、お金を返してもらえなくなった場合には、貸した人はこの不動産を一定の手続きで売ってお金にし、そこから優先的に回収できます(民事執行)。
 抵当権の設定契約は、債権者と不動産の所有者との間で結びます。
 所有者は、抵当権を設定した後も、支払いが滞るなどして売られてしまわない限り、そのまま不動産を使うことができます。
 この抵当権も、お金を貸す側にとっては、将来回収ができなくなってしまう恐れを小さくし、安心して貸すための一つの方法といえます。

 保証人も抵当権も、貸す側にとっては、あった方が安心ですが、保証人になったり抵当権を設定したりする側は、最初は「迷惑はかけないから」などと言われていても、後々に支払がストップしてしまうと、思わぬ大きな責任を負わされることになりますので、注意が必要です。

 消費貸借は、事前のトラブルは少なく、貸した後に返してもらえないというケースがもっぱらです。
 この場合も、通常は相手に対して請求、交渉し、応じてもらえなければ訴訟をする、という対処をすることになります。
 借りた人(更には保証人や抵当物件の提供者)も、貸主の言い分が正しければ、きちんと返していく義務があります。
 どうしても返せない場合は、減額や返済期間の延長等の交渉をしたり、破産再生等の法的手続を考えたりすることになります。
 既に返したとか、金額が違うとか、言い分があるのであれば、それを主張していくことになります。

 消費貸借は、必ずしも書面を作らなくとも効力は発生しますが、契約書や借用書がない場合には「貸した」「借りてない」「もらったものだ」「既に返した」等々のトラブルにもなりやすいので、書類の作成はした方が良いでしょう。

 消費貸借の問題についても、お気軽にご相談ください。