贈与
贈与は、当事者の一方が、財産を無償で相手に与える意思を表示し、相手がこれを受諾することによって、効力を生じる契約です(民法549条)。
タダであげるのだから、あげる人の一方的な意思表示で可能だろうと思われるかも知れませんが、贈与は、相手の承諾が必要な「契約」です。
もらう側にとっても、欲しくない物であったり、借りを作りたくなかったり、贈与税のかかる可能性があったりと、必ずしも快く受け取りたい場合ばかりとは限らないので、相手方が承諾をして、初めて効力を生じるものとされています。
贈与は、タダであげるという性質から、通常は親子や夫婦などの親族間や、当事者同士が親しい関係にある場合になされる契約といえます。
贈与は、一度契約をした場合でも、それが口約束であって、書面を作っていない場合には、各当事者が、それを撤回することができます。
ただし、既に履行の終わった部分については、もう撤回はできません。
これは、贈与の口約束が、軽率になされてしまうことが多く、また、タダであげるという都合のいい話なのだから、もらう人はさほど期待すべきではない、という趣旨と思われます。
したがって、贈与の約束をした場合、もらう側としては、どうしてもそれを確実にしたければ、タダでもらう立場で中々気が引けるかもしれませんが、早期に履行をしてもらうか、書面で一筆をもらっておく必要があるといえるでしょう。
贈与をする人は、贈与の目的となる物または権利を、そのように特定した時の状態で引き渡し・移転することを約束したものと推定されます。
負担付贈与
贈与をするかわりに、もらう人が一定の負担をする契約の場合は、負担付贈与と呼ばれます。
例えば、ある財産を贈与する代わりに、生活の面倒をみる、などといった場合です。
負担付贈与の場合は、贈与をする人は、その負担という利益を受ける以上、その負担の限度において、売買における売主と同様に、贈与する物に不備があった場合には担保責任を負います。
負担付贈与は、もらう人も一定の義務を負うものであることから、基本的には双務契約の規定が準用され、それと同じように扱われます。
定期贈与
定期的に給付をすることを目的とする贈与の場合は、贈与をする人またはもらう人のどちらかが死亡した場合には、契約は効力を失います。
これは、定期的にタダであげる・もらうという契約なので、その当事者間の特に強い関係が背景にあり、どちらかが亡くなった場合に、わざわざ相続人にまで義務や権利を引き継がせるべきではないという考えからかと思われます。
死因贈与
贈与する人の死亡によって効力を生じる贈与契約の場合は、死因贈与と呼ばれます。
これは、遺贈と態様が似ていることから、基本的には遺贈に関する規定が準用され、それと同じように扱われます。
贈与の問題についても、お気軽にご相談ください。