強盗罪

 強盗罪は、刑法236条に規定されています。
 具体的には、暴行または脅迫を用いて、他人の財物を強取した場合や、財産上不法の利益を得たり、他人に得させたりした場合に、成立します。
 また、逆の順序で、窃盗をした人が、盗んだ物を取り返されるのを防ごうとしたり、逮捕を免れたりするために、暴行や脅迫をしたような場合も、強盗罪として扱われます(事後強盗といわれています)。

 強盗罪の法定刑は、5年以上の有期懲役です。
 暴力や脅迫を手段として財産を奪うということで、単に物を盗む窃盗罪等に比べて悪質さが増し、法定刑もかなり重くなります。
 また、強盗の場合は、例えば、刃物等の凶器を使って脅す・攻撃することが多いですが、強盗の機会に人にけがをさせると、無期または6年以上の懲役となり、死亡させると死刑または無期懲役となり、厳罰度が高まります。
 窃盗から強盗、強盗致死傷へは、態様からみて、いつそのように移行してもおかしくない(移行のしやすい)犯罪類型であり、それだけ危険で、厳しく取り締まる必要があるため、法定刑がこのように重くなっているものといえます。

 強盗の手段としての暴行・脅迫は、客観的にみて「強取」といえる程度のもの、すなわち、一般的に相手の反抗を抑圧する程度に、強度のものである必要があります。
 すなわち、強盗は、相手の意思に反して奪うものであり、それよりも程度の弱い暴行・脅迫によって、財物等を交付させた場合には、恐喝罪となります。

 強盗罪や強盗致傷罪は、前科や余罪等がなくとも、一発で刑務所行きにもなり得る犯罪です。
 コンビニ強盗や、道行く人への強盗、住居へ侵入した窃盗犯が、帰宅した人に見つかって強盗をしてしまう居直り強盗など、強盗事件は新聞やニュース等でも日々見かけますが、この罪を犯した人の中には、逮捕されてから初めて「お金がほしくて軽い気持ちで行動をしたけれど、これほど重い刑になるとは知らなかった」などと愕然とする人がいますが、後の祭りです。
 そして、強盗致死傷罪の場合には、起訴されれば、裁判員裁判となります。
 それほど重い罪だということです。

 強盗罪の問題についても、ご不明な点はご相談ください。