送り付け商法

 送り付け商法とは、注文がされていないのに、一方的に商品を送り付け、その代金を請求するという販売方法のことで、ネガティブ・オプションとも言われます。
 頼んでもいないのに送られる時点で、迷惑極まりないものですね。

 このようにして送付され、受け取った物については、自分からあえて返送しなくても、送付をした業者はもはや返還を請求できなくなり、受領者は商品を自由に開封したり処分したりすることができます(特定商取引法59条1項)。
 ただし、この規定は、基本的には一般消費者を保護するための規定であり、商品の送付を受けた人が、営業のために、または営業として締結することとなる売買契約の申し込みの場合には、適用されません(特定商取引法59条2項)。
 また、販売業者は、売買契約が成立しているかのように偽って、その売買契約に関する商品を送付した場合にも、その送付した商品の返還を請求することはできません(特定商取引法59条の2)。

 そもそも本人が在宅している場合は、注文した覚えがなければ、その旨を配送業者に告げて、受け取りを拒否しても良いですし、受け取っても代金が後払いであれば、上記のように代金を支払うことなく商品を処分してしまうことも法的には可能となっているため、さほど困った事態にはならないかもしれません。
 しかしながら、本人が不在の場合で、かつ代金引換の場合は、「家族の誰かが注文したのかもしれない」と考えた他の家族が、商品を受け取ってしまい、かつ支払いもしていしまうおそれはあります。
 よく分からずにいったん受け取ってしまった場合でも、それだけで契約が成立するわけではありませんが、代金引換で届く場合には、一度支払ってしまうと、その後の返金交渉は困難が伴うので、誰が注文したのかが不明な物は、受取を保留にして、注文した人がいるのかどうかを確認した方が良いでしょう。

 注文を受けていないのに、そのように装って商品を送り、その旨を誤信させて代金を払わせることは、詐欺罪や、特定商取引法違反の罪にも該当し得るもので、過去には実際に逮捕者も出ています。

 現在は、インターネットの発達により、パソコンやスマートフォン等でも手軽に売買ができ、配送業者による配達品も多数となっている時代ですが、覚えのない商品の配達には、くれぐれも注意が必要です。