犯人蔵匿・隠避罪

 犯人蔵匿罪・犯人隠避罪は、刑法103条に規定されています。
 罰金以上の刑に当たる罪を犯した人や、拘禁中に逃走した人を、蔵匿または隠避させた場合に、この罪が成立します。
 要するに、犯罪を行った人を、かくまったり、逃走の手助けをしたりした場合、その行為が犯罪となるわけです。
 これは、刑事司法の手続を妨害する行為なので、許されないというわけです。

 「罰金以上の刑に当たる罪を犯した人」は、犯罪の疑いをかけられて、現に捜査をされている人や、捜査機関にまだ発覚していない人、言い渡された有罪判決がまだ確定していない人なども、広く含みます。
 たとえ本当は無実の人であっても、含まれるとされています。
 なぜなら、無実だからかくまっても良いということになると、その人が本当に無実なのかどうかの捜査や裁判をすること自体が妨げられてしまい、それは妥当でないから、とされています。

 「蔵匿」とは、捜査機関等による発見・逮捕を免れさせるような、隠匿場所を提供することをいい、「隠避」とは、蔵匿以外の方法によって、捜査機関等による発見・逮捕を免れさせるような、一切の行為(例えば、犯人に逃走資金を与えたり、自分が身代わり犯人として警察署に出頭したりなどの行為)をいいます。
 かくまう側は、その人が罰金以上の刑に当たる犯人であることを認識して、蔵匿・隠避をするだけで本罪が成立し、その犯人がどんな犯罪を行ったのかや、どこの誰であるか等を知らなくても関係ありません。

 犯人自身が、逮捕前に、逮捕されないように単独で隠れたり逃げたりすることは、人の本能としてやむを得ないということで、罪にはなりません(逮捕された後に脱走する場合は、逃走の態様に応じて単純逃走罪・加重逃走罪になります)。
 しかし、他人にかくまってもらったり手助けをしてもらったりすると、その他人は罪になる、ということです。
 なお、犯人や逃走した人の親族が、その犯人等の利益のために、この犯罪を行ったときは、裁判所はその刑を免除することができます(刑法105条)。
 これは、親族の場合、親族としての情愛からその犯人をかくまうなどの行為をすることも、心情的に責めにくい面があるからですが、免除できるというだけであって、必ず処罰されないというわけではありません。

 犯人蔵匿・隠避罪の法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

 以上の通り、犯人から頼まれて、友達だからといって安易に応じてかくまうなどすると、意に反して犯人蔵匿・隠避罪が成立するおそれは考えられます。

 犯人蔵匿罪・犯人隠秘罪の問題についても、ご不明な点はご相談ください。